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【建築・不動産系資格試験】「耐火建築物・準耐火建築物」について

宅建士や建築士の試験に出題される「耐火建築物」や「準耐火建築物」の参考画像

宅建士や建築士の試験に出題される「耐火建築物」や「準耐火建築物」について解説します。

実務的には「耐火構造」など、類義語がいくつか存在しますが、試験対策としては「耐火建築物」と「準耐火建築物」の要点を理解しておけば、応用にも対応できます。

都市計画や建物の面積や階数によって、「耐火建築物」や「準耐火建築物」にしなければならない条件もあるので合わせて紹介します。


耐火建築物や準耐火建築物とは

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耐火建築物や準耐火建築物とは?

耐火建築物

耐火建築物とは、建築基準法上の主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根又は階段)が耐火性能を満たし、その上、延焼の恐れがある窓などの開口部に、火災を遮ることのできる設備を備えている建築物が該当します。

建物の重要な部分である主要構造部を、耐火構造などの火に強い性能にすることで、火事による倒壊や延焼の被害などを最小限に留めれる可能性が高くなり、具体的には、鉄鋼モルタルRC構造(鉄筋コンクリート造)レンガ造などが該当してきます。

主要構造部の壁、柱、床、はり、屋根、階の各部位や建物の階数によって求められる耐火性能が変わり、都市計画法では防火地域内は耐火建築物の計画を求められます。

耐火性能

耐火建築物の主要構造部における「耐火性能」については、政令で基準が定められています。

目的も明確で、大きくは4項目に分けられます。

  1. 延焼の防止(周りから貰わず、拡げない)
  2. 避難経路の確保
  3. 火災による建築物の耐力低下を防ぎ、倒壊させない
  4. 火災後、修繕を行えば再利用可能

上記の名目の元に、建築物の階数や部位ごとに1〜3時間の加熱に対する非損傷性、遮熱性、遮炎性が確保されていること構造耐力上支障のある変形や溶融、破損などの損傷を生じない時間などの規定を定められています。

建築物の階数最上階及び最上階から数えた階数が2以上で4以内の階最上階から数えた階数が5以上で14以内の階最上階から数えた階数が15以上の階
壁 (外壁・間仕切り壁(耐力壁))1時間2時間2時間
1時間2時間3時間
1時間2時間2時間
はり1時間2時間3時間
階段30分間  
屋根30分間  

上記の内容を見ると、最低でも30分として下限値が定められており、構造な重要な部分である、壁・柱・床・梁などは4階以内であれば1時間になります。

4階であれば1時間もあれば避難は可能ですね。

準耐火建築物

建築基準法では、耐火建築物の性能を少し下げた基準で「準耐火建築物」というものがあります。

その主要構造部壁、柱、床、梁、屋根、階段)を準耐火性能(加熱開始後45〜60分間の加熱中の非損傷性、遮熱性、遮炎性が確保されていること)を満たし、かつ、延焼の恐れのある開口部(窓やドア)に防火戸など、火災を遮る設備を有する建築物が準耐火建築物として扱われます。

準耐火性能

耐火性能と同じように、準耐火性能の方も技術的基準が定められています。

壁 外壁・間仕切り(耐力壁)45分間
45分間
45分間
はり45分間
階段30分間
屋根(軒裏を除く)30分間

耐火建築物や準耐火建築物にしなければならない条件

耐火性能の場合は火災による建築物の倒壊や延焼を防ぐ目的で、準耐火性能通常の火災による延焼を抑制するために必要とされる性能を持つのが目的とされています。

建築物の用途や階数・面積によって構造を限定されたり、都市計画で定められた地域によっては、耐火建築物や準耐火建築物で建てなければいけない場所もあります。

特殊建築物の用途に応じた規制になります。

用途耐火構造(用途が該当する階)耐火構造(用途の床面積)60分準耐火構造45分準耐火構造
劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場3階以上の階
主階が1階にない
・客席の床面積
:200㎡以上
  
病院、診療所、ホテル、旅館、児童福祉施設等3階以上の階  2階の床面積300㎡以上
下宿、共同住宅、寄宿舎3階以上の階 3階建ての3階(条件あり)2階の床面積300㎡以上
学校、体育館、博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツの練習場3階以上の階 3階建ての3階(条件あり)2階以下の床面積2,000㎡以上
百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、
ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店、物品販売業を営む店
3階以上の階床面積3,000㎡以上 2階の床面積500㎡以上
自動車車庫、自動車修理工場、映画スタジオ、テレ
ビスタジオ
3階以上の階  床面積150㎡以上
倉庫 3階以上の床面積200㎡以上 床面積1,500㎡以上

特殊建築物の場合は、階数や面積によって条件が変わってくるので、都度確認が必要になってきます。

耐火建築物とする場合、構造をRC造か鉄骨造+耐火被覆で計画が主流ですが、木造建築でも面積や階数により、「耐火構造」などが求められます。

高さ・軒高階数延べ面積
3,000㎡以下3,000㎡超
高さ13m超
又は
軒高9m超
4階以上耐火構造耐火構造
3階建60分準耐火構造(条件あり)
2階建30分の火熱に耐える
置(条件あり)
平屋 
高さ13m以下
かつ
軒高9m以下
  

上記のような高さ13m又は軒高9mを超えてくる場合や、延べ面積が3,000㎡を超える木造建築物などは、火災により倒壊した場合に周囲への影響が大きいことから主要構造部を耐火構造とすることを義務づけられています。

延べ面積などは、規制による緩和などがあります。

防火地域や準防火地域による制限

次は、防火地域や準防火地域によって限定される場合です。

特殊建築物以外の建築物でも市街地の場合、火災による危険性が大きく考えられるため「階数」や「延べ面積」によって定められています。

階 数防火地域準防火地域
50㎡以下100㎡以下100㎡超500㎡以下500㎡超
1,500㎡以下
1,500㎡超
4階以上耐火構造耐火構造耐火構造耐火構造耐火構造耐火構造
3階建耐火構造耐火構造耐火構造一定の防火措置の対応45分準耐火構造耐火構造
2階建45分準耐火構造45分準耐火構造耐火構造防火構造(外壁・軒裏)付属建築物の場合45分準耐火構造耐火構造
平屋建防火構造(外壁・軒裏)付属建築物の場合45分準耐火構造耐火構造防火構造(外壁・軒裏)付属建築物の場合45分準耐火構造耐火構造

防火地域が一番厳しく指定されており、沿線・幹線沿いに多く指定されていることが多いです。

火災による被害を最小限に抑えるために考えられている内容になります。

宅建士や建築士の試験に出題される「耐火建築物」や「準耐火建築物」 まとめ

今回は「耐火建築物」や「準耐火建築物」について触れてみました。

建築の中でも火災関係は、消防設備・避難経路・構法の選定など複合的な考える部分であり、求められる知識は多岐に渡ります。

次回は「不燃材料」関係について記事にしたいと思います。

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archi

普段は設計メインの建築エンジニア。 休日は趣味(スポーツ・遊び)を堪能する2児の父。 ハウスメーカーやデベロッパー、設計事務所などを渡り歩き、住宅から大規模建築まで様々な分野を取り扱うストロングスタイル! 所有資格/建築士/宅建士/AFP/古民家鑑定士/福祉住環境コーディネーター/大型免許・大型二輪/一級小型船舶免許操縦士他

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