日本の伝統ある建築方式で、神社建築というものが昔からあります。
神社建築は本殿・拝殿・弊殿の3つの建築から構成されている形が主流で、今も多くの神社建築が存在しています。
時代が移り変わり、建築様式も多様化される現在では、神社建築に携わる人も減少していると言われています。
今回は神社建築の特徴や種類について書いてみます。
建築士やインテリアコーディネーターの試験にもよく出る範囲なので、要チェックの項目です。
神社建築の特徴
神社建築には大きく特徴があり、現代の木造建築に大きく影響を与えています。
代表的な神社建築は、「神明造」「大社造」「住吉造」などが挙げられ、いくつか共通の項目が何点かあります。
宇治上神社本殿覆屋(国宝・世界遺産)。
五間社流造。康平3年(1060年)頃建立の現存最古の神社建築(京都府宇治市)
屋根に妻を持ち、瓦を使わない。
木造建築の屋根と同じように、種類としては「切妻屋根」が大半を占めます。
切妻屋根とは、2面だけで構成されているシンプルな構造の屋根になります。
耐久性や費用面を押さえることができ、世界中でも多く見かけます。
神社建築の場合は、通常の切妻屋根とは違い、破風や妻飾り、優美な曲線の表現など、伝統的な技術もふんだんに盛り込まれています。
屋根の仕上げ材に関しても、基本的に瓦などは使われず、檜(ひのき)の皮を使う檜皮(ひわだ)葺きや、銅を使った銅板葺きが多く採用されています。
寺院などと違い、神社の場合は装飾が控えめにまとめられていたので、屋根なども、耐久性や機能面、材料の調達面を考慮して採用されていいたかも知れませんね。
神社建築の種類
特徴と合わせて、神社建築はいくつかの種類に分けられます。
特徴や種類ごとに、その時代の流れを反映している部分もあり、歴史を感じさせる形もあります。
住吉造(すみよしつくり)
神明造や大社造と同じように、神社建築の中でも最古様式として位置付けられている。
屋根は切妻造、「妻入り」と言われる、屋根の破風や垂木の側面側に入口を設けた形が特徴です。
平面構造は内陣・外陣で構成されており、シンプルな矩形になっています。
代表的な建築は大阪の住吉大社で、現存の本殿は江戸時代に建築されたと言われています。
神明造(しんめいづくり)
屋根の形状は、切妻造で「平入り」と言われる棟のラインと平行して構えている「平」側に入口を設けている形になります。
入口正面に立てば、重厚感のある屋根が前面上部を飾り、神殿建築の名に相応しい様式になります。
伊勢神宮の別館・伊雑宮や皇大神宮、両国国技館の土俵上の吊り屋根などにも使われています。
大社造(たいしゃづくり)
「大社造」は、島根県にある出雲大社に代表される建築様式で、掘立柱・切妻屋根・妻入りが特徴です。
デザイン的にも、直線的な神明造や住吉造に比べ、大社造は曲線的なデザインなどが屋根などで使われています。
大社造は、住吉造と違い、正方形に近い平面構造になり、入口も他の様式と違い、正面に対し右側に位置付けられています。
春日造(かすがつくり)
春日造は、奈良県にある春日大社を代表的な建築としており、関西地方で多く見かける様式です。
屋根は切妻で、妻側に入口を設けており曲線的な庇も特徴の1つです。
八幡造(はちまんつくり)
他の神社建築と違って、八幡造は2棟の建築物を前後に組み合わせた様式になります。
その前後の建物を、それぞれ前殿・後殿と言い、中間に相の間と言われる一間のスペースが存在します。
2棟の建物は、切妻屋根の平入で左右対象に柱などが配置されている構造になります。
代表的な建築は、大分県の宇佐神宮上宮本殿や、京都府の石清水八幡宮上院社殿が挙げられ、国宝や重要文化財に指定されているものも数多くあります。
権現造(こんげんつくり)
日光東照宮や北野天満宮で有名な権現造も、代表的な神社建築の内の1つです。
屋根の形状が、切妻ではなく入母屋で形成され、3棟の建物を配置した複合社殿の構造も、権現造の特徴の1つです。
神社建築の種類をいくつか抜粋しました。
出雲大社から住吉造→春日造に発展した流れと、伊勢神宮などの神明造から流造へと発展した2パターンに大きく分けられます。
入口の「平入」か「妻入」によって、流派を分類できたりするので、覚え方も神社建築の時系列で覚えたほうがいいかも知れません。
奥が深い神社建築。
また改めて記事にします。