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【バリアフリー法】「客室」のルール。5分で読める建築物移動等円滑化の基準。

バリアフリー工事で減税する方法。失敗しない住宅計画の基礎知識

バリアフリ-法「建築物移動等円滑化の基準」の項目の一つである「客室」について解説します。

「客室」の場合は、ホテルや旅館といった用途が対象となり、「車いす使用者用客室」の設置などのルールが設けられています。

高齢者や障害者の方達が、宿泊施設をより利用しやすい環境が求められているため、基本的な内容を把握しておく必要があります。

「建物移動等円滑化基準」と「建物移動等円滑化誘導基準」のそれぞれについて見ていきます。


バリアフリー法「建物移動等円滑化基準」客室のルール

バリアフリー法における客室の条件の参考画像
バリアフリー法における客室の条件

まずは、バリアフリー法「建物移動等円滑化基準」の「客室」の内容についてです。

<一般>ホテル・旅館の客室(第15条)

  • 客室総数が50以上で、車いす使用者用客室を1室以上必要。
  • 便所(同じ階に共用の車いす使用者用便房があれば代替可能)
  1. 便所内に車いす使用者用便房を設けている
  2. 出入口の幅は80cm以上(当該便房を設ける便所も同様)
  3. 出入口の戸は車いす使用者が通過しやすく、前後に水平部分を設けている(当該便房を設ける便所も同様)

・浴室等(共用の車いす使用者用浴室等があれば代替可能)

  1. 浴槽、シャワー、手すり等が適切に配置されている
  2. 車いすで利用しやすいよう十分な空間が確保されている
  3. 出入口の幅は80cm以上
  4. 出入口の戸は車いす使用者が通過しやすく前後に水平部分を設けている

「車いす使用者用客室」の確保や、出入口・浴室などの設置に、必要な寸法等が設定されています。

「出入口の幅は80cm以上」や「出入口の前後の水平部分」など、他の項目でも類似する項目が多いので合わせて覚えておきましょう

バリアフリー法「建物移動等円滑化誘導基準」客室のルール

次に「建物移動等円滑化誘導基準」の内容になります。

<一般>ホテル・旅館の客室(第10条)

・客室の総数が200以下の場合は、該当する客室総数の1/50以上、客室総数が200を超える場合は当該客室の総数の1/100に対し2を加えた数以上の車いす使用者用客室数を設ける。

・車いす使用者用客室の出入口

  1. 幅は80cm以上
  2. 戸は車いす使用者が通過しやすく、前後に水平部分を設けている

・便所(同じ階に共用の車いす使用者用便房があれば代替可能)

  1. 便所内に車いす使用者用便房を設けている
  2. 出入口の幅は80cm以上 (当該便房を設ける便所も同様)
  3. 出入口の戸は車いす使用者が通過しやすく、前後に水平部分を設けている(当該便房を設ける便所も同様)

浴室等(共用の車いす使用者用浴室等があれば代替可能)

  1. 浴槽、シャワー、手すり等が適切に配置されている
  2. 車いすで利用しやすいよう十分な空間が確保されている
  3. 出入口の幅は80cm以上
  4. 出入口の戸は車いす使用者が通過しやすく、前後に水平部分を設けている

「建物移動等円滑化基準」と同様に、出入口前後の水平部分と開口幅の制限が設定されています。

バリアフリー法(建築物移動等円滑化の基準)客室 計画のポイント

客室の計画のポイントの参考画像
客室の計画のポイント

「客室」の計画について気を付けたい内容をピックアップしています。

チェックリストの記載されていない内容についても少し紹介します。

車いす使用者用客室

  • 客室総数が50以上の場合は、車いす使用者用客室を1室以上設ける。
  • 客室総数が200以下の場合は、当該客室の総数に1/50を乗じて得た数以上に、客室の総数が200を超える場合は、当該客室の総数に1/100を乗じて得た数に2を加えた数以上の車いす使用者用客室数を設けることが望ましい。
  • 客室の総数が50未満の場合でも、車いす使用者用客室を1以上設けることが望ましい。
  • 車いす使用者用客室の配置位置は、EVからできるだけ近い位置とすることが望ましい(車いす使用者の移動負担の軽減を考慮)

一般客室

一般客室でも気を付けたい内容です⇩

出入口

  • 客室出入口の有効幅員は、80cm以上
  • 客室出入口前後には、車いす使用者が方向転回できるスペースを設けることが望ましい。
  • 客室内の通路は、車いす使用者が通行可能な有効幅員を確保。
  • 客室内には、車いす使用者が方向転回できるスペースを設けることが望ましい。(ベッドの移動等、客室のレイアウト変更による対応でも可)
  • ベッドの側面に車いす使用者がベッドに移乗するためのスペースを設ける。
  • 客室の床については、原則として段を設けない。

戸の形式・形状

  • 客室出入口の戸は、その前後に高低差がないようにする。
  • 便所及び浴室等の戸については、その前後に高低差(浴室の防水情必要な立ち上がり高さなどはを除かれる。)を作らない。

部品・設備

  • ベッド高さは、マットレス上面で40~45㎝程度
  • ヘッドボード高さは、マットレス上面より30㎝以上とし形状はベッド上で寄り掛かりやすいものとする。
  • ベッドの下に車いすのフットレストが入るようにする。
  • ベッドやベッドサイドキャビネットを床に固定することは避ける(車いす使用者に配慮し客室内のレイアウト変更が可能となるように)
  • ベッドサイドキャビネットの高さは、マットレス上面より10㎝程度高くする。
  • 照明はベッド上で点灯・消灯できるように。
  • コンセント、スイッチ類は車いす使用者の利用に適した位置とする。
  • 客室内の利用しやすい位置にコンセントを設ける(電動車いすのバッテリー充電のため)
  • 車いす使用者の利用に適した位置とする。
  • 収納の棚の高さは、下端:床から30㎝程度、上端:床から120㎝程度とする。
  • HP(ハンガーパイプ)やフックの高さは、高さの調節ができるものか、床から120cm程度の低い位置。
  • 収納の奥行きは60㎝程度
  • 室内のカウンターについては、上端高さ70cm程度・下端高さ60~65cm程度、奥行きは45cm程度が望ましい。

上記のような部分を標準として計画したいですね。

バリアフリー法(建築物移動等円滑化の基準)客室編 まとめ

今回は、バリアフリ-法(建築物移動等円滑化の基準)における「客室」について紹介しました。

「車いす使用者客室」を中心に、各寸法や設備・部品の項目が設定されています。

「一般客室」にも反映させると効果的な内容も多いので、面積などに余裕がある場合は検討したいですね

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archi

普段は設計メインの建築エンジニア。 休日は趣味(スポーツ・遊び)を堪能する2児の父。 ハウスメーカーやデベロッパー、設計事務所などを渡り歩き、住宅から大規模建築まで様々な分野を取り扱うストロングスタイル! 所有資格/建築士/宅建士/AFP/古民家鑑定士/福祉住環境コーディネーター/大型免許・大型二輪/一級小型船舶免許操縦士他

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