大正時代は15年と短い期間ではありますが、激動の時代として数々の歴史が記録に記させれています。
後の昭和時代も同じく、国内の高度成長期を代表する時代とされ、生活や文化にも様々な変化が起こりました。
建築も同じように、鉄筋コンクリート造や鉄骨造など、技術や工法だけでなく材料なども大きく変化を遂げた時代になります。
大正時代や昭和時代の建築の特徴
震災により変革を行った大正時代と戦争を乗り越えた昭和時代
大正時代の洋風住宅(兵庫県芦屋市・旧山邑家住宅)出典:wikipedia
大正時代は約15年と短い期間ながら、文明・文化が大きく飛躍した時代になります。
主要都市の発達や経済の拡張に伴い、都市文化、大衆文化が着目され「大正モダン」と呼ばれる文化を象徴する言葉が誕生しました。
大正時代の「モダン」の始まりは、東洋一の港となっていた神戸港とされ、最新の欧米文化が衛星都市の富裕層が受け入れて、モダンな芸術・文化・生活様式が広まったとされています。
大正中期には、洋風生活を取り入れた「文化住宅」が一般向け住宅として多く建設されていきます。
しかし、1923年(大正12年)には関東大震災が発生し、首都東京は甚大な損害を受けてしまいます。
これを機に、復興計画で江戸時代以来の東京の街を大幅に改変し、道路の整備や区画整理などを行い、電気・水道などのインフラ関係も整備され、近代都市への大変革を遂げたことになります。
大正時代の後に64年間続いた昭和時代。
歴史的な出来事も多く、経済成長しながら文化や技術が進歩してきました。
住宅のみならず、家電製品や車など、身の回りの物が劇的に変化し、機能性とデザインが常に求められていた時代とも言えます。
昭和時代の前期と後期では、変化が激しい物も多いことでしょう。
建築や住宅においては、第二次世界大戦の戦争による影響もあり、住宅難の時期が長く続いていた期間があります。
それらを解消するために、日本住宅公団による、大都市近郊にニュータウンを建設を始めました。
少子高齢化時代を迎える中、昭和時代に建設されたニュータウンの空き家問題なども囁かれています。
それらを活用するのも、現代の人達に与えられた課題かもしれません。
大正時代や昭和時代の代表的な建築物
東京駅
大正時代を象徴する建物として「東京駅」が挙げられます。
東京駅は、建築家、辰野金吾が設計し大正3年に竣工しました。
戦災により一部焼失してしまい、創建時は3階建てだった駅舎は、応急処置として2階建て駅舎になり、約60年もの間その姿のままで維持していました。
2007年頃から創建当時の3階建ての姿に戻す工事が開始され、特殊な工事を進めながら約5年半の歳月をかけ、東京駅丸の内駅舎は創建当時姿を復元(地下を増築し、免震装置を設置)させ、2014年には、東京駅丸の内駅舎は100周年を迎えました。
旧帝国ホテル
旧帝国ホテル 出典:wikipedia
アメリカの建築家、フランク・ロイド・ライトによって設計された旧帝国ホテル。
現存はしていませんが、大正時代を代表する建築物として有名です。
フランク・ロイド・ライトが徹底した管理体制で臨んだことでも有名で、最終的には金額面などのトラブルがあり、ライトがアメリカへ帰国後に完成を迎えます。
平等院鳳凰堂をモチーフとした、鷲が翼を広げたような巨大なホテルは、それぞれのブロックをエキスパンションジョイントで繋ぎ合わせた構造になっており、これで建物全体に柔軟性と独立性をもたせ、一部に倒壊があっても全体には影響を与えない仕組みとされたいました。
関東大震災時にも小規模な損傷のみで済み、改めて耐震性や耐火性なども評価されていました。
東京中央電信局
今は現存しない東京中央電信局 出典:wikipedia
東京中央電信局は、建築家・山田守氏によって設計されました。
数多く電話局を設計した中でも、代表作として多く取り上げられています。
東京都庁舎
東京都庁第一本庁舎と第二本庁舎 出典:wikipedia
東京都庁舎は、建築家・丹下健三氏による設計で、1990年に竣工しました。
計画時もコンペで参加を選定し、建築業界のトップレベルが集まっていたため着目を浴びていました。
コンペに参加メンバーは、日建設計、日本設計、板倉建築研究所、前川國男建築事務所、安井建築事務所、松田平田坂本設計事務所や、建築家として丹下健三と磯崎新の二人が指名されています。
東京都庁舎の構成は
- 第一本庁舎(階数 地上48F、地下3F)高さ243m
- 第二本庁舎(階数 地上34F、地下3F)高さ163m
- 都議会議事堂(階数 地上7F、地下1F)高さ14m
の3棟になります。
神奈川県立近代美術館
神奈川県立近代美術館 鎌倉館 出典:Wikipedia
神奈川県立近代美術館は、建築家・板倉準三氏によって設計され、1951年に竣工しています。
日本最古の美術館として有名でしたが、耐震性や借地の期限などの問題もあり、2016年に閉館しています。
しかし、建物の建築物的価値が高く文化財としても評価され、今後は地主である鶴岡八幡宮に譲渡され耐震補強後に「鎌倉文華館鶴岡ミュージアム」として運営する予定です。
大正時代や昭和時代の建築の特徴や様式。東京駅や旧帝国ホテルの誕生 まとめ
大正・昭和の時代を経て、日本の建築は近代化が進みました。
高度成長期の勢いもあり、技術や人材の能力も飛躍的に向上しています。
平成・冷和へと続く中、古き良き時代の建築に原点があるかもしれません。