今回は、建築物の環境負荷低減方法「太陽熱」を使った方法について紹介します。
「太陽熱」を利用した場合、よく取り入れられる手法としては、太陽集熱器により集めた外気を暖め、ダクトを通じて床下の放熱し、各部屋へ供給するパッシブデザインの方法と、太陽熱集熱パネルを建築物の屋根に設け、太陽熱を給湯の電源や床暖房等に持ちいられるアクティブデザインの方法があります。
両方とも通常よりコストが掛かってしまいますが、環境負荷低減の項目の中でも評価が高く、取り入れている建築物も年々増加しています。
太陽集熱器による建築的手法(パッシブデザイン)
太陽集熱器による建築的手法(パッシブデザイン)のメインとなる方法には、太陽集熱器やパネルを屋上に設置し、暖めた外気を床下空間に放出する方法があります。
ダクトを屋上から基礎部分まで通し、送風機などで暖めた空気を循環し、床から吹き出すような仕組みになり、暖房の効果を見込めるため、冬季の利用に制限されることが多い方法ですが、窓からの日射の取り込みなどに比べると、屋上の場合は弊害が少ないため、通年を通して利用することができます。
集熱器にも色々あり
上記のイメージ画像のように、集熱器を通し太陽の光エネルギーを熱エネルギーに変え、水などの熱媒変換する一般的な太陽集熱器は、水式集熱器と空気式集熱器の2つに分けられます。
水式集熱器としては、平板型集熱器と真空管型集熱器があります。
水式集熱器と空気式集熱器
水式集熱器と空気式集熱器を下記のようにまとめてみました。
水式集熱器 | 空気式集熱器 | |
平板集熱器 | 真空管型集熱器 | |
表面は透明な強化ガラスで覆われており、下部は熱が逃げないように断熱材が使われている。 金属ケースの受熱箱内部に集熱板を配置し、太陽集熱器が平板状の形状が特徴の一つ | 既存の設備に接続が可能で太陽集熱器が真空のガラス管でできており、ガラス管の中の集熱部に不凍液などの熱媒を通すようになっている 集熱効率が良く、集熱面積が少ないため、真空による対流による放熱が少なくなるので高温集熱に有利です。 | 水漏れ、凍結の心配がなく、建築との一体化が可能でデザイン性に 優れているダクトが大きく施工スペースが必要だが、ガラス付き集熱面を屋根面材として設置し、屋根の通気層の空気を暖め、上部の棟ダクトに暖かい空気を集めることが可能 |
建物の配置や形状に応じて、集熱器も使い分けていくのもより効果的な方法です。
太陽集熱パネルによる設備的手法(アクティブデザイン)
次に、太陽熱を利用した設備的手法(アクティブデザイン)として ソーラーパネルなどを使った利用方法もあります。
太陽光で発電される電気は直流のため、パワーコンディショナー等のインバーターを使い、交流電気に変換されます。
太陽光発電に関しては、大規模建築から戸建て建築まで、様々な建築物が取り入れらている身近な環境負荷低減方法とも言えるのではないでしょうか。
災害時に備えて、太陽光で発電した電気を蓄電池で帯電させたり、電力会社に売電するなど、多種多様な使い方も見受けられます。
建築物の環境負荷低減方法③太陽熱 まとめ
今回は「太陽光」に関する環境負荷低減方法を紹介しました。
建築だけでなく、腕時計や人工衛星などにも使われている「太陽光」
パッシブ・アクティブ共に手法分類でき、建築を計画する環境によって使いわけるのも一つの指針になると思います。
設備の設置等にはコストが掛かりますが、総合的に+になるのであれば率先して取り入れていきたいですね。