今回は、あまり馴染みのない「ポルトランドセメント」などのセメントの記号などについて解説します。
どちらかと言うと、建築の実務や建築関係の資格試験に問われるような内容で理解しにくい分野でもあります。
それぞれの特徴を踏まえ紹介していきます。
セメントにはどんな種類がある?
セメントとは、主な原料は石灰石・粘土・けい石・鉄原料・せっこうで出来ており、原料の全てを国内から調達することが可能です。
よく、モルタル・コンクリートと原料の種類が似ているので混合しがちですが、使う材料が変わってきます。
さらに、セメントの種類については多種多用有り、大きく以下の種類に分類できます。
- 普通ポルトランドセメント「N」
- 早強ポルトランドセメント「H」
- 超早強ポルトランドセメント「UH」
- 中庸熱ポルトランドセメント「M」
- 低熱ポルトランドセメント「L」
- 耐硫酸塩ポルトランドセメント「SR」
- 高炉セメント(A種・B種・C種)
- フライアッシュセメント(A種・B種・C種)
- シリカセメント(A種・B種・C種)
「早強」や「低熱」など、それぞれの特徴が名前に含まれるので、効果や性能も合わせて覚えるのがいいかもしれません。
ポルトランドセメント
種類が多く分かれる「ポルトランドセメント」から紹介します。
・普通ポルトランドセメント #セメント記号「N」
セメントの種類の中でも一番多く使われており、他のセメントと比べ比較的入手しやすい「普通ポルトランドセメント」
国内でのセメントのシェアが60%~70%を占めており、建築・土木工事において一番多く使われています。
・早強ポルトランドセメント #セメント記号「H」
「早強ポルトランドセメント」は、セメント粒子を細かくし、水との接触面積を増やして反応を早く発揮されるように配合されたセメントです。
普通ポルトランドセメントが3日で達する強さを1日で発揮するなど、短い期間で高い強度を発現されるので、緊急的な工事の場合などに使われたりします。
・超早強ポルトランドセメント #セメント記号「UH」
「超早強ポルトランドセメント」は、上記の早強ポルトランドセメントをさらに強化したセメントで、普通ポルトランドセメントでは7日掛かってしまう強度を一日で発揮してしまいす。
気温が厳しい状況や、緊急での工事の際に採用されたりします。
・中庸熱ポルトランドセメント #セメント記号「M」
「中庸熱ポルトランドセメント」は、乾燥収縮などが小さい部類のセメントで発熱量が抑えられている要素もあり、マスコンクリートや遮蔽コンクリートに使われています。
ダムの建設工事や橋脚工事やなどに使われます。
・低熱ポルトランドセメント #セメント記号「L」
「低熱ポルトランドセメント」は、中庸熱ポルトランドセメントより乾燥収縮や水和熱が少ないセメントです。
初期の強度は小さいですが、長期強度は大きくなり、コンクリートの高強度性・高流動性・低熱性に対応できるセメントになります。
・耐硫酸塩ポルトランドセメント #セメント記号「SR」
「耐硫酸塩ポルトランドセメント」は、海水や温泉地・工場排水・下水などの影響のある土壌などに対抗するセメントで、硫酸塩に対する化学的抵抗性を求めて作られています。
・普通エコセメント 「E」
エコセメントは性能は普通ポルトランドセメントと同等ですが、 廃棄物問題の解決を目指して開発されたセメントになります。
建築工事や土木工事など、分野問わず使用が可能なセメントになります。
混合セメント
混合セメントとは、普通ポルトランドセメントの他に各種の混合材を混合して製造するセメントです。
その混合材の種類として「高炉スラグ」「フライアッシュ」「シリカ質」の3種類が挙げられ、混合材の分量によって「A種」「B種」「C種」に分類されています。
・高炉セメント 「BA」「BB」「BC」
高炉セメントとは、通常のポルトランドセメントに高炉スラグ微粉末を所定量混合して製造されたセメントです。
特徴としては、長期強度が大きくアルカリシリカ反応抑制効果なども見込め、水密性・化学抵抗性が大きいなどが挙げられます。
その高炉スラグ微粉末の分量により、A種(5%を超30%以下)、B種(30%を超60%以下)、C種(60%を超70%以下)の3種類に分類されており、B種が様々な分野で一番多く使われています。
ダムや橋梁、道路やトンネルなど大規模な土木工事に使われています。
・シリカセメント 「SA」「SB」「SC」
シリカセメントとは、天然のシリカ質を混合材に用いたセメントで、そのシリカの分量により、A種(5%を超え10%以下)、B種(10%を超20%以下)、C種(20%を超30%以下)の3種類に分類されます。
特徴としては、強度が出るのに時間が掛かりますが耐薬品性などに優れています。
オートクレーブ養生するコンクリート製品に使われています。
・フライアッシュセメント 「FA」「FB」「FC」
フライアッシュセメントは、火力発電所などで発生する燃焼排ガス中から回収された、微細な石炭灰であるフライアッシュを混合材として用いたセメントです。
特徴としては、長期強度や水密性や化学抵抗性が大きく、ワーカビリティが優れているなどが挙げられます。
そのフライアッシュの分量により、A種(5%を超え10%以下)、B種(10%を超20%以下)、C種(20%を超30%以下)の3種類に分類されますが、高炉セメントと同様にB種が最も多く生産されています。
高炉セメントと同様に、ダムや橋梁、道路やトンネルなど大規模な土木工事に使われています。
5分でわかるセメントの記号や種類について。 まとめ
今回は、分かりづらいセメントの種類や記号について紹介してみました。
建築の勉強を始めた方にはわかりづらい分野であり、セメント記号については、実務を始めたばかりの人が必ずと言っていいほど調べる内容になります。
映像的な物がないので、配合方法や名称でしか覚えるしかないのが難しいところです。
基本となる「普通ポルトランドセメント」を中心に理解していきましょう。