家庭用の低圧電気や、ビルなどの高圧受電・電気の配線工事には方法がいくつかあります。
建築のボリュームや用途によって使い分けられたり、電気を供給する先によって選定することもあります。
フロアダクトやセルラダクト配線など、身近なようで複雑な「配線工事」について今回は紹介します。
一番多いのはケーブル配線?
商業施設や公共施設などの大規模建築物の配線工事には、「ケーブル配線」が多く使われます。
理由としては、金属製の配管よりも施工性が高く、露出のままケーブルラックなどで施工できるのがメリットとして挙げられます。
保護管などを使わないのを前提として、電気の供給先ごとにケーブルを色分けし、トラブルにも対応しやすく工夫されています。
配線工事の種類や内容(フロアダクト・セルラダクト・フリーアクセスフロア・バスダクト)
ケーブル配線以外にもいくつも種類があるので紹介します。
フロアダクト配線
フロアダクト配線は、コンクリートのスラブ(床)内に格子上にダクトを設け、その内部に配線関係を通し収納する形の方法です。
オフィスビルなどの用途で多く採用され、将来的な部分を踏まえ間取り変更時に対し、配線の取り出しなどにも応じやすく、見た目もスッキリします。
ダクトサポートと言われる支持材を用いて高さ調整を行い、接続部に関してはジャンクションボックス等を用いるので、後の点検や交換作業も行いやすい方法に分類されます。
フロアダクト工事に用いる配線は、直径3.2mm以下の単線やより線が使われ、接地工事の分類としては「D種300V以下の低圧電気機械器具や金属製外箱・金属管などに施す接地工事)」に該当します。
フロアダクト工事の確認項目です。
- フロアダクトの工事対象は、乾燥したコンクリートの床内限定
- フロアダクト工事は、屋外用ビニル絶縁電線(OW線)を除く絶縁電線を使用
- 接地工事の分類はD種接地工事。ダクトの長さに関わらず省略不可
- 電線の接続方法は、原則としてジャンクションボックス内、フロアダクト内での接続は禁止
- ダクト同士の接続はダクトカップリングを使用し、終端部は閉塞
セルラダクト配線
セルラダクト配線とは、S造(鉄骨)などで床の材料として使われる「デッキプレート」の形を生かし、溝の部分を使って配線を通す方法です。
オフィスの床配線に採用されることが多く、管配線より自由度が高いのもメリットの一つです。
使用電圧は300V以下の屋内の乾燥した場所で、点検出来る場所に設置することができます。
セルラダクト工事の特徴です。
- S造などの床構造材の一部として使用されるデッキプレートの溝を利用し、配線を通す方法
- セルラダクト工事の接地工事はD種接地工事
- セルラダクト工事は、屋外用ビニル絶縁電線(OW線)を除く絶縁電線を使用
フリーアクセスフロア配線
フリーアクセスフロア配線は、床を二重構造にすることにより、その床と床の間にできた空間内に配線を通す方法です。
上部の床はスチール製や樹脂製などの種類があり、重過重用や軽過重用など、商品も多様化してきています。
配線へのアクセスが比較的容易な工法になります。
バスダクト方式
バスダクトとは、金属製のダクトに配線を納めた形の工法です。
バスダクト自体が導体に銅・アルミを使用しているので、電気や機械的な特性が優れており、ケーブル工事より費用は割高になりますが、美観や安全面、施工性の向上が望めます。
アンダーカーペット方式
アンダーカーペット方式は、ケーブル配線の要領と似ており、カーペットの下にケーブルを設置する方法になります。
通常のケーブルを使用すると凹凸ができるので、フラットケーブルを使用するのが主流です。
フロアダクトやセルアダクト配線とは?3分で読める配線工事の種類や内容。 まとめ
今回は建築工事などで使用される配線工事について紹介しました。
今回紹介した方法以外にも、低圧の場合はPF管やCD管といった配線を後から仕込める空配管などの工事も多く見かけ、日を追うごとに多種多様化しています。
電気配線などは建築の中でも重要な内容に該当するので、基本的的な部分は理解しておきたいですね。