今回は、バリアフリ-法「建築物移動等円滑化の基準」の項目の一つである「利用居室の出入口」について解説します。
「居室」の出入口に対し求められる基準になり、それぞれの用語の意味の理解も必要になってきます。
「居室」とは、居住・執務・作業・集会・娯楽などその他これらに類する目的のために継続的に使用する室を表します。
建築物の用途や表現などによっては、「居室」の数が床面積の大半を占めるのも珍しくなく、バリアフリー上の「利用居室の出入口の基準」も関係してくることになるでしょう。
柔軟な計画を行えるように、今回は「利用居室の出入口」について「移動等円滑化基準」「移動等円滑化誘導基準」のそれぞれについて見ていきます。
バリアフリー法「建物移動等円滑化基準」利用居室の出入口のルール
まずは、バリアフリー法「建物移動等円滑化基準」の「利用居室」の内容についてです。
<移動等円滑化経路>出入口(第18条第2項第二号)
①幅は80cm以上である
戸は車いす使用者が通過しやすく、前後に水平部分を設けている
出入口の有効幅員は、80cm以上が理想とされ、2以上の出入口を併設する場合、そのうちどちらか1以上の出入口の有効幅員を90cm以上とすることが望ましいとされています。
さらに、出入口前後には140㎝角以上の水平なスペースを設け、車いす使用者が直進や方向転回ができるようにするのが標準になります。
バリアフリー法「建物移動等円滑化誘導基準」利用居室の出入口のルール
次に「建物移動等円滑化誘導基準」の内容になります。
<一般>出入口(第2条)
出入口 (便所・浴室等の出入口、基準適合出入口に併設された出入口を除く)
- 幅は90cm以上
- 戸は車いす使用者が通過しやすく、前後に水平部分を設けている
「建物移動等円滑化基準」と同様に、出入口前後の水平部分と開口幅の制限が設定れています。
バリアフリー法(建築物移動等円滑化の基準)利用居室の出入口 計画のポイント
「居室」の出入口の内容ということもあり、他のバリアフリーの項目よりは少なくなっています。
チェックリストの記載されていない内容についても気を配りたい内容があるので少し紹介します。
戸の形式・形状
- 戸を設ける場合には、自動的に開閉する構造その他の車いす使用者が容易に開閉して通過できる構造とし、かつ、その前後に高低差がないもの
- 開き戸より引き戸、手動より自動タイプが理想(自閉式上吊り引き戸や自動閉鎖時間の調整機能があれば望ましい)
- 取っ手は棒状で、中心高さは床から90cmが理想
- ドアクローザーは閉鎖作動時間が十分に確保され、操作の軽いもの
- 開き戸の場合は、レバーハンドル式、プッシュプルハンドル式、パニックバー形式が望ましい
室内表示
- 室内表示があるといい(床から140~160cm程度)
- 文字は大きく、ひらがな表記を併記するのが望ましい。
- 文字・図記号、図、背景の色の明度、色相又は彩度の差を考慮する
上記のような部分を標準として計画したいですね。
バリアフリー法(建築物移動等円滑化の基準)利用居室の出入口編 まとめ
今回は、バリアフリ-法(建築物移動等円滑化の基準)における「利用居室の出入口」について紹介しました。
居室はどの建築物にもほぼ存在するので、寸法などは意識的に覚えておきたい項目になります。
プランによっても、開き戸と引き戸を上手に使い分け、動線も踏まえた総合的な計画を心掛けたいですね