今回は、バリアフリ-法(建築物移動等円滑化の基準)における「建築物の出入口」について紹介します。
「敷地内の通路」や「駐車場」の内容に加え、「建築物の出入口」もバリアフリーの内容の中では重要な位置づけになります。
開口の幅や段差の有無についての規定がメインですが、利用者の使い勝手など、総合的に考える必要もあるため、基本的な知識が必要不可欠になります。
「建物移動等円滑化基準」と「建築物移動等円滑化誘導基準」のそれぞれについて見ていきます。
バリアフリー法の建築物の出入口「建物移動等円滑化基準」
まずは、建築物の出入口に関するバリアフリー法の規定です。
移動等円滑化経路
- 階段・段が設けられていない(傾斜路又はエレベーターその他の昇降機を併設する場合は除かれる)⇨バリアフリー法の共通事項とも言える内容です。
建築物の出入口
- 幅は80cm以上である⇨車椅子が通れるサイスになります。
- 戸は車いす使用者が通過しやすく、前後に水平部分を設けている⇨有効開口幅を確保していても、出入口の前後に段差があれば通過できないためです。
高齢者や障害者の方、他の利用者が同じ出入口を利用できるように計画するのがポイントの一つです。
計画段階でも十分な検証が必要です。
バリアフリー法の建築物の出入口「建物移動等円滑化誘導基準」
次に、「建物移動等円滑化誘導基準」についてです。
「誘導」の方なので、少し厳しい内容が設定されていますが、利用者の使い方を考えると理想の内容かもしれません。
建築物の出入口(誘導基準)
①出入口 (便所・浴室等の出入口、基準適合出入口に併設された出入口を除く)
- 幅は90cm以上である⇨2 以上の出入口を併設する場合には、そのうちのどちらか1 以上の
出入口の有効幅員を、90cm 以上とすることが理想とされています。 - 戸は車いす使用者が通過しやすく、前後に水平部分を設けている⇨わずかな段差も、車椅子の方にとっては通過の妨げになり、杖をもった高齢者の方などもつまづく原因になります。
②一以上の建物出入口
- 幅は120cm以上である⇨直接地上へ通じる出入口のうち、1以上は120cm以上。その前後で車椅子の方が展開できる140cm角の水平なスペースが必要になります。
- 戸は自動に開閉し、前後に水平部分を設けている⇨自動の開閉も、開ける時は素早く可動し、閉まる時はゆっくりとした仕様が望ましいとされています。
バリアフリー法の建築物の出入口の計画ポイント
バリアフリー法のチェックリストには記載されていませんが、建築物の出入口を計画をする上でのポイントをいくつか紹介します。
戸の形式
- 開き戸より引戸が理想(できれば自動開閉)であり、その前後に水平な空間を確保。
- 衝突防止の意味でも、反対側が見えるような窓を設けたい
- 窓を設ける場合は、健常者・高齢者・こどもそれぞれの高さに配慮する
玄関マット
- 玄関マットは埋め込み式などしっかりと固定、車椅子などに引っかからない仕様がポイント
- 視覚障害者誘導用ブロック等との取り合いに注意が必要
視覚障害者誘導用ブロック等
- 前面道路から建築施設の入口に繋がる主要な通路には視覚障害者の誘導を行うために、線状ブロック等及び点状ブロック等を適切に組みわせて敷設するか、音声などで誘導する装置を付ける
- また上記のような主要な通路で、車路や段差がある手前などにも、視覚障害者に対し警告を行うために、点状ブロック等を敷設
- 風除室内での方向転換はNG
バリアフリー法の「建築物の出入口」のルール。5分で読める建築物移動等円滑化の基準。 まとめ
今回は、バリアフリ-法(建築物移動等円滑化の基準)における「建築物の出入口」について紹介しました。
紹介した内容以外にも、「床は滑りにくい仕上げ」「できる限り、出入口に屋根・庇を設ける」「夜間の通行に使用がないよう、照明を設ける」など基本的な内容が設計標準としてあげられます。
建築のプランやバランスなども考慮し、今回の内容をスタンダートにしたいですね。