「サヴォア邸」や「ロンシャンの礼拝堂」なで有名な、近代建築の巨匠ル・コルビュジエ、建築だけでなく家具にも精通しています。
その中でも「LCコレクション」が世界的にも有名で、長年に渡ってインテリア業界に影響を与えています。
今回は「LCコレクション」について解説します。
ル・コルビュジエとLCコレクション
「LCコレクション」とは、ル・コルビュジェと従兄弟であるシャルロット・ペリアンとピエール・ジャンヌレが協力して制作した、家具のシリーズのことをいいます。
この3人は、1927年から協同で活動し1937年までの10年間、数々の家具を世に送り出しインテリア業界に多くの影響を与えました。
ちなみにLCコレクションの「LC」は,ル・コルビュジエの略称です。
LCコレクションは、アルファベットの「LC」の後に数字が続く作品名になっています。
数字が少ないほど初期の作品ということを表し、「LCコレクション」がどいういう風に発表されてきたのかも時系列で楽しむことができます。
LC1の発表から80年は経ちますが、年数は関係なく、どの時代からも愛されています。
復刻の商品も交え紹介していきます。
LC1(スリングチェア)
「自由に背もたれが動く椅子」として名高いスリングチェアです。
無駄な装飾を取り払い、機能的にこだわっているところがコルビュジェらしい作品になっています。
ブラックとシルバーの色の組み合わせも、どこかモダン建築の雰囲気を感じさせます。
LC2
シンプルなスチールパイプの構造フレームに、厚めのクッションをはめ込んでいる構造。
1人掛けから3人掛けとサイズもいくつかあり、大きさが変わってもデザインが崩れない。
通称「グランコンフォール」とも言われています。
2006年に、当時から残っていたシャルロット・ペリアンのスケッチをもとに、「LC2 POUF」としてLC2のオットマンが作られています。
LC3
LC2のシンプルな構想やデザインを生かし、少し幅を広くし、座高を低くしたモデルが「LC3」
LC2から目線が下がるため、また違う世界観を与えてくれます。
「LC2 POUF」と同じく、当時のスケッチをもとに、LC3の片アーム式の「LC3 MERIDENNE」が開発されています。
LC4
ル・コルビジェのLCコレクションの中でも代表的な作品が、この「シェーズ・ロング」
「休息の為の機械」とも名付けられ、弓形のパイプと背のカーブを調整することによって、角度を自由に変えられるのも特徴の一つ。
資格試験の問題にもよく出題されます。
LC5
ル・コルビジェが、自宅のリビングで使うように作られたソファ
製品化されなかった幻の作品とも言われています。
LC6
4本の足は、飛行機に使われていた楕円断面パイプを用いて制作しています。
他の人が目を向けない新素材にも、積極的に取り入れていくのがル・コルビジェスタイル
テーブルとしての用途より、空間を演出するインテリアとして使いたい作品です。
LC7
直線と曲線が折り合わさった、現代でも輝きを放ち続けるシンプルな回転座椅子。
サロン・ドートンヌに出展されたシリーズの内の一脚。
LC8
LC7の構造ベースで、背もたれを取り払った回転式スツール。
ル・コルビュジェが提唱する、機能的な部分をシンプルに納めた作品。
LC9
シャルロット・ペリアンがデザインした自宅用の椅子。
現在では、復刻賞品などタオル地や藤張り、革張りなどから選べる仕様になっている。
LC10
LCコレクションの中でも、種類が少ない テーブルタイプ。
ガラス天板と金属パイプのシンプルな構造。
復刻商品では、サイズや高さが選べるので、様々な空間やインテリアに合わせれるのが特徴の一つ。
LC11
日本では発売されていない、LCコレクションテーブル。
シャルロット・ペリアンの提案により改良され、元々は大理石の天板がクルミ材になり復刻しているテーブル。
LC12
ラ・ロッシュ邸に合わせデザインされたシンプルなテーブル。
天板が、木やガラスなどから選べ、軽快なデザインが空間の演出を際ただせます。
LC14
ル・コルビュジェが、妻の誕生日のために用意した椅子。
6面とも取っ手が付いており、どの角度からも使えるように考えられている。
今までのLCコレクションとは、少し趣向が変わった作品。
ル・コルビジェとLCコレクションまとめ
現在も復興版のLCコレクションが市場に出回っており、モデルハウスなどでもたまに見かけます。
コルビュジェだけでなく、フランク・ロイド・ライトや、ミース・ファン・デル・ローエなど、近代建築の巨匠達は、建築だけでなく家具た照明のデザインや制作にも力を入れていました。
「建築」と「人」それぞれのスケール感やモジュール感が違うので、オンリーワンの建築とオンリーワンの家具が対になるのも、必然的な結びつきかもしれません。
近代建築の巨匠たちが作り出したインテリアを、機会があれば楽しんで下さい。