前回に引き続き、防火関係の内容を解説します。
不燃材料・準不燃材料・難燃材料などの用途を含めた区別方法や内装制限が生じる条件などについても紹介します。
不燃材料などの特徴を知ってから、内装制限の項目に入る方が理解しやすいかもしれません。
不燃材料・準不燃材料・難燃材料の種類
建築基準法では通常の火災時に対し、燃焼現象等や避難上有害な煙などを発生しない性能を有する建築材料が選定されています。
「不燃材料」「準不燃材料」「難燃材料」と定義しており、それぞれの性能が下記のようになっています。
不燃材料 性能(加熱時間) 20分間
・コンクリート・れんが・瓦
・陶磁器質タイル・金属板
・モルタル・ロックウール、グラスウール
・厚さ5mm以上の繊維混入ケイ酸カルシウム板
・厚さ12mm以上の石膏ボード等
・ガラス、石
準不燃材料 性能(加熱時間) 10分間
・厚さ15mm以上の木毛セメント板
・厚さ9mm以上の石膏ボード等
難燃材料 性能(加熱時間) 5分間
・厚さ5.5mm以上の難燃合板
・厚さ7mm以上の石膏ボード 等
不燃材料>準不燃材料>難燃材料のような包含関係にあり、建築用途や構造、規制内容によって使い分ける形になります。
もちろん、性能に比例してコストも上昇します。
防火区画
防火区画(建築基準法36条)の目的は、急激な火災の拡大を抑制する目的を基に、避難を含めた「人」の安全を確保するとともに、周囲への危険防止も含めたルールになっています。
床や壁、防火設備によって、有効に区画することを定められています・
・面積区画 500㎡~3000㎡の一定面積ごとに、建築物内の延焼を最小限に留めるため区画が必要。
開口部に関しては、特定防火設備や、床・壁で区画
*11階以上の階は、はしご車が届かず消防活動が困難なため、更に細かく区画(100㎡~500㎡)
・竪穴区画 階段や昇降路など、火や煙が建物内の縦方向に連続して繋がる空間を通って拡大しないよう区画すること
吹抜けやダクトスペースなども対応必要になる場合もあり。面積区画と同じく特定防火設備や、床・壁で区画
・異種用途区画 病院と住宅、ホテルと店舗など複数の用途に分かれてしまう場合、用途に応じて利用方法や空間形態が異なり火災時には避難の遅れ等が生じる原因ともなることも考えられます。
異なった用途に延焼や煙が拡大しないよう特殊建築物用途とその他の用途などを床や壁、遮煙性能を有する特定防火設備等で有効に区画する必要があります。
建築士の試験や宅建士の問題で出題される内容です。
それぞれの区画の特徴や面積等を覚えてしまえば、実務でも役に立ちます。
目的は火災を抑制するため、全てに共通するのは建築物の利用者の避難や安全の確保になります。
内装制限
火災防止の目的として、内装材を制限する決まりも設けられています。
出火の防止を図るとともに、初期火災の状況を遅延させ、火が拡大しても煙やガスの発生を少なくすることを目的とされています。
在館者の避難安全の確保を図るため、壁や天井に使われる内装材料を制限されています。
対象建築物 | 内装材料 | ||
用途 | 建築規模 | 居室等 | 通路等(階段・廊下) |
劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場 | ・400㎡以上の耐火建築物 ・100㎡以上の準耐火建築物 ・100㎡以上のその他建築物 | 難燃材料
*(壁のうち、床面から1.2mの部分は規制対象外。 *3階以上の階を特殊建築物の用途とする場合、天井は準不燃材料で仕上げる必要 | 準不燃材料
*避難階段・特別避難階段の場合、内装及び下地を不燃材料にしなければならない) |
病院、診療所、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、児童 施設等(100㎡区画されている耐火建築物等は対象外) | ・3階以上の床面積が300㎡以上の耐火建築物 ・2階の床面積が300㎡以上の準耐火建築物 ・200㎡以上のその他建築物 | ||
百貨店、マーケット、展示場、キャバレー等、ダンスホール、 公衆浴場、待合、料理店、飲食店、物販等 | ・3階以上の床面積が1,000㎡以上の耐火建築物 ・2階の床面積が500㎡以上の準耐火建築物 ・200㎡以上のその他建築物 | ||
自動車車庫・修理工場
*劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場の用途の地階 | 準不燃材料
*(壁のうち、床面から1.2mの部分は規制対象外。 | 準不燃材料
*避難階段・特別避難階段の場合、内装及び下地を不燃材料にしなければならない) | |
すべての用途 | ・階数3以上・延べ面積500㎡超 ・階数2・延べ面積1,000㎡超 ・階数1・延べ面積3,000㎡超 | 難燃材料 | 準不燃材料
*避難階段・特別避難階段の場合、内装及び下地を不燃材料にしなければならない) |
火気使用室 | 準不燃材料 | ||
内装制限上の無窓居室 | 準不燃材料 |
居室などについては、就寝で使われたり、不特定多数が利用する建物が対象。
通路についても、居室から避難で使われる通路の場合は規制の対象になります。
在韓者の避難を考慮した規制内容ということですね。
防火関係などについては、消防同意が必要な建築物の設計・施工に対して知識が多く求められる傾向にあります。
建築は意匠・構造・設備・消防と複合的に考える必要があるため、基本的な部分は押さえておきたいですね。