新築の計画や不動産の売買などで出てくる内容に「都市計画法」や「用途地域」という言葉がたくさん出てきます。
住宅の建築や土地の購入時に、必ず確認すべきポイントなので簡単に解説します。
大まかに言うと、街のこれからの姿を想定して、土地・建物の規制・整備や、開発許可・建築制限について定めた法律です。
土地区画整理法や都市再開発法を含めた、都市計画の主軸となるべき部分です。
ポイントとしては、対象の不動産が、
- 「都市計画区域」か「都市計画区域外」なのか?
- 「市街化区域」か「市街化調整区域}なのか?
- 用途地域に当てはめた場合、どの地域に当てはまるのか?(建蔽率や容積率に影響するので、建てれる建築が決まってきます)
購入してしまってから手遅れにならないよう、この3つのポイントを解説していきます。
目次
住宅購入時の確認ポイント 都市計画区域・都市計画区域外

「都市計画区域」や「都市計画区域外」とは?
「都市計画区域」は広範囲で都市計画を定めている地域です。施設の他に公園や道路も含まれており、都道府県の範囲で決定されている内容があります。
また都道府県が2つにまたがったりする時などは、国土交通大臣が決定します。
およそ、日本国内の1/4が都市計画区域として指定されていますが、その区域内に国内の人口が8割以上集中しています。
ある程度、街の指針を建てるためにも重要な役割を果たしている法律になります。
また、都市計画区域外は「都市計画区域」から外れた地域になります。
主に都会から遠方地に多く、国土の約4/3が「都市計画区域外」になります。
例外(一部の特殊建築物、木造3階建など)を除いて、都市計画のルールから外れて建築が可能になります。
また「都市計画区域外地域」のみ「準都市計画区域」も指定されます。
準都市計画区域は、都市計画区域に指定されていない区域でも、現に行われている敷地の造成や、将来の都市として見込める区域に対して指定することがでのきる区域です。
住宅購入時の確認ポイント その2 市街化区域、市街化調整区域、非線引区域

「市街化区域」や「市街化調整区域」とは?
都市計画法で都市計画区域が定められ、そこでさらに「市街化区域」「市街化調整区域」に分けられます。
市街化区域とは、既に市街地が形成されている地域と、この10年以内に優先的に市街化を進める地域のことをいいます。
対して、市街化を優先するので農業などに対する施策などは抑制(転用などは許可が必要ない)されます。
市街化調整区域とは、開発行為や都市整備を行わない、市街化を抑制している地域で、第一次産業(農業・林業・水産業)などの必要な建物以外は建築できない地域のことをいいます。
「非線引区域」は「市街化区域」「市街化調整区域」にも指定されていない地域のことをいいます。
あまり市街化が進んでいない地域で、開発許可関係や土地の規制なども、比較的緩いエリアです。
必須ではないですが、非線引き区域でも「用途地域」を定めることができます。
住宅購入時の確認ポイント その3 用途地域

13種類もある用途地域
都市計画法に基づき、13種類の用途に地域を分け、それぞれの制限を定めています。
制限される内容は
- 建物の種類・建ぺい率、容積率
- 高さ制限(地域による)
- 道路斜線制限・隣地斜線制限・日影規制
などがあります。
それぞれの地域の名称と特徴になります。
第一種低層住居専用地域
第一種低層住居専用地域は低層住宅の良好な住環境を守るための地域。(床面積の合計が)50m²までの住居を兼ねた一定条件の店舗や、小規模な公共施設、小中学校、診療所などを建てることができる。
例として、2階建て程度の戸建て住宅・アパート主体の住宅地。通常コンビニも建てられない。日用品・日常生活のための小規模な店舗兼用住宅が点在する程度。
第二種低層住居専用地域
第二種低層住居専用地域は主に低層住宅の良好な住環境を守るための地域。150m²までの一定条件の店舗等が建てられる。
例として、第一種低層住居専用地域の例に加え、コンビニなどの小規模な店舗などがあるもの。
第一種中高層住居専用地域
第一種中高層住居専用地域は中高層住宅の良好な住環境を守るための地域。500m²までの一定条件の店舗等が建てられる。中規模な公共施設、病院・大学なども建てられる。
例として、3階建て以上のアパートやマンションがある住宅街など。店舗が目立つようになる。
第二種中高層住居専用地域
第二種中高層住居専用地域は主に中高層住宅の良好な住環境を守るための地域。1500m²までの一定条件の店舗や事務所等が建てられる。
例として、第一種中高層住居専用地域の例に加え、小規模のスーパー、その他やや広めの店舗・事務所などがあるもの。
第一種住居地域
第一種住居地域は住居の環境を保護するための地域。3000m²までの一定条件の店舗・事務所・ホテル等や、環境影響の小さいごく小規模な工場が建てられる。
例として、中規模のスーパー、小規模のホテル、中小の運動施設、その他中規模の店舗・事務所などがあるもの。
第二種住居地域
第二種住居地域は主に住居の環境を保護するための地域。10000m²までの一定条件の店舗・事務所・ホテル・パチンコ屋・カラオケボックス等や、環境影響の小さいごく小規模な工場が建てられる。
具体例としては、郊外の駅前や幹線道路沿いなど。アパートやマンションがあり、大きめのスーパーや商業店舗・事務所などがあるもの。
準住居地域
準住居地域は道路の沿道等において、自動車関連施設などと、住居が調和した環境を保護するための地域。10000m²までの一定条件の店舗・事務所・ホテル・パチンコ屋・カラオケボックス等や、小規模の映画館、車庫・倉庫、環境影響の小さいごく小規模な工場も建てられる。
具体例としては、国道や幹線道路沿いなどで、宅配便業者や小規模な倉庫が点在するような地域である。道路沿いの住宅街に倉庫を建てさせたいという目的で設置された用途地域とも言える。車庫について規制解除された他は第二種住居地域に準じている。
田園住居地域
田園住居地域は農地や農業関連施設などと調和した低層住宅の良好な住環境を守るための地域。ビニールハウスなどの農産物の生産施設や農産物・農業の生産資材の倉庫等のほか、500m²までの一定の地域で生産された農産物を販売する店舗等も建てられる。
具体例としては、農産物直売所・農家レストランを中心とした地域である。地産地消を推進したいという目的で設置された用途地域とも言える。農産物直売所・農家レストランについて規制解除された他は第二種低層住居専用地域に準じている。
近隣商業地域
近隣商業地域は近隣の住民が日用品の買物をする店舗等の、業務の利便の増進を図る地域。ほとんどの商業施設・事務所のほか、住宅・店舗・ホテル・パチンコ屋・カラオケボックス等のほか、映画館、車庫・倉庫、小規模の工場も建てられる。延べ床面積規制が無いため、場合によっては中規模以上の建築物が建つ。
具体例としては、駅前商店街である。小さな商店がたくさんある状態から、中規模以上の商業施設まで有り得る。
商業地域
商業地域は主に商業等の業務の利便の増進を図る地域。ほとんどの商業施設・事務所、住宅・店舗・ホテル・パチンコ屋・カラオケボックス等、映画館、車庫・倉庫、小規模の工場など。延べ床面積規制が無く、容積率限度も相当高いため、高層ビル群も建てられる。
準工業地域
準工業地域は主に軽工業の工場等、環境悪化の恐れのない工場の利便を図る地域。住宅や商店も建てることができる。ただし、危険性・環境悪化のおそれが大きい花火工場や石油コンビナートなどは建設できない。
工業地域
工業地域は主に工業の業務の利便の増進を図る地域。どんな工場でも建てられる。住宅・店舗は建てられる。学校・病院・ホテル等は建てられない。 例えば、大規模な工場の隣に社員寮やスーパーがあるような状態など。
工業専用地域
工業専用地域は工業の業務の利便の増進を図る地域。どんな工場でも建てられる。住宅・物品販売店舗・飲食店・学校・病院・ホテル等は建てられない。福祉施設(老人ホームなど)も不可。住宅が建設できない唯一の用途地域でもある。簡単に言えば、京浜工業地帯などに代表される湾岸地域などである。石油コンビナートや製鉄所などの環境悪化の可能性が大きい設備が設立されている地域である。また、花火工場などの危険性が極めて大きい工場もこの地域に建設される。
出典:wikipedia
上記のように13の種類に分けられ、その地域に建てられる建築物に制限がかかります。
その地域によっては、同じ「低層住居地域」系でも、建蔽率が違う地域もあるので注意が必要です。
店舗兼併用住宅などで、住宅の一部でお店を営業する場合なども業種などが限定されるので事前に確認しましょう。
これら以外でも「地区計画」や「風致地区」などの項目で、色々な制限を設けられている地域も多いので、早い段階でプロに相談することも進め方の一つです。
中古住宅の購入する時の注意点なども紹介しています⇩