一昔前の日本の住宅では「瓦」が主流でしたが、洋風などの住宅様式が増えるにつれ、「スレート」や「金属屋根」など、スタイリッシュなデザインで軽量化された屋根材が多く使われています。
今回は、その中でも「瓦屋根」に着目し紹介します。
目次
瓦屋根にも「釉薬」と「無釉薬」があり。リフォーム・リノベーション計画の失敗しないための知識

瓦には、粘土系とセメント系の2種類があります。
粘土系とは焼き物の瓦のことで、釉薬瓦と無釉瓦に分けられます。
釉薬瓦
瓦の表面に「上薬」と言われる釉薬を塗ってから焼き上げます。
俗に言う陶器瓦とも呼ばれるものです。
発色をさせることで多彩な色を持つことも可能で形状も数種類あります。
釉薬瓦の形状
J形(和形)
多く見かける瓦のスタンダートの形になります。
名前の由来は、Japaneseの頭文字の「J 」から
F形(平板)
曲線がほぼない、直線状の形状をした瓦
洋風の住宅に使われることが多いです。
S形
断面がS型形状の瓦
家のデザインや外観に合わせて選定することができ、施工の面積が大きい分、家のイメージを大きく左右します。
それぞれの形状によって、1坪当たりの枚数も違うので、金額にも差があります。
無釉薬瓦
無釉瓦は、文字の通り釉薬を塗らない瓦を表し、代表的なものは「いぶし瓦」「素焼瓦」などがあります。
瓦の施工には「土葺き」と「桟葺き」があり。リフォーム・リノベーション計画の失敗しない為の知識

瓦の施工方法には、大きく分けて2種類あり、「土葺き」と「桟葺き」に分類されます。
「土葺き」の方法は、粘土の高い土を瓦の下に敷き、接着させる方法です。
一方、「桟葺き」の方は「土」を使わずに、屋根に桟木と言われる木材を打ち付け、引っ掛けて瓦を固定する方法です。
土を屋根に載せない分考慮され、「桟葺き」の方が耐震性にも有利になります。
「土葺き」と「桟葺き」の重さの目安
「土葺き」と「桟葺き」を比べた場合の重さの目安です。
土葺き瓦・・・・1坪(3.3㎡) 200kg
桟葺き瓦・・・・1坪(3.3㎡) 160kg
建坪10坪~20坪の住宅の場合、土葺き瓦の場合は、約2t(2000kg)~約4t(4000kg)
車数台分の重さが屋根に載っている計算になります。
桟葺き瓦の場合は、土葺き瓦の約3/4の重さになり、屋根の荷重を少し軽くすることができます。
昔は、施工方法も限定されていることもあり、屋根の選定も一択でしたが、現在は軽量化されているハイブリッド瓦なども出回り、見た目の雰囲気を損なわない瓦も出てきています。
ハイブリッド瓦
昨今では、「瓦屋根」の意匠性を残しつつ、軽量化や耐久性が優れている「ハイブリッド瓦」が採用されています。
「ハイブリッド瓦」の内容については過去の記事で解説しています⇓
瓦屋根の耐久性は?
セメント瓦や粘土瓦によっての違い、地域性などによって違いがありますが、耐久性は約50年ほどと言われています。
年数の経過による「ひび割れ」よりも災害による瓦の損傷が多くイメージがあり、影響を受けた部分だけの瓦の差し替えなどが可能なのがメリットの1つです。
日本の住宅の建て替えサイクルと比較すると、大半の年数を保つことができ、なかく利用されている理由がそこにもあります。
瓦は長持ちするが漆喰の補修には定期的なメンテナンスを!リフォーム・リノベーション計画の得する知識
瓦自体の耐久性はある程度保てますが、その繋ぎ目などを埋めている「漆喰」はメンテナンスが必要です。
よく塗り壁などにも使われる「漆喰」ですが、屋根の継ぎ目などに使った場合も、長年の経過により剥がれてきたり痩せてきたりするので、それらの原因で雨漏りが発生することも少なくありません。
10年に1回ぐらいのメンテナンスが理想で、剥がれやひび割れの確認を含め、劣化部分の「漆喰」の詰め替えを行っていく方が、家を長く快適に保持する秘訣とも言えます。
瓦屋根の特徴や種類「リフォーム・リノベーション計画の失敗しない為の知識⑥」 まとめ
今回は瓦屋根の特徴について紹介しました。
日本本来の建築様式の代表として瓦屋根は利用されています。
住宅のみならず、寺や神社、城の建築などにも頻繁に使われ、その形から作られるデザインからは歴史が感じられます。
最近は、デザイン面だけでなく軽量化や施工性、メンテナンス性を考慮された屋根材の商品も多く見かけます。
次回は、それらの商品について解説していきます。