不動産や住宅などの購入には色々な方法があります。
現金で購入するのが一つの方法ですが、最近では現金を手元に残しつつ、「団体信用保険」を含め住宅ローンを利用する方もいます。
こういった事も専門の方に任せるのもアリですが、税制面や金額が高額な場合は、知識があればあるほど得をする傾向にあります。
今回は基本的な「住宅ローン」を解説してみます。
目次
住宅ローンの基本知識 住宅計画を失敗しないための基礎知識
住宅ローンは文字の通り、住宅専用のローンになります。
ローン(loan)は和訳で「貸付け」や「信用取引」という意味があります。
これから購入予定の住宅や不動産を担保にして、金融機関などからお金を借りることをいいます。
*担保とは将来発生する不利益に対しての補填の準備など。住宅ローンの場合は「抵当」になります。
マイカーローンや教育ローンなど、ローンの商品はいくつかありますが、「住宅ローン」も代表的なローン商品の一つで、金利や借り入れ年数や付加価値も含め商品が充実している金融機関が多いです。
文字の先入観で「住宅ローン」は住宅を購入する時のみというイメージもありますが、リフォームの場合も対応してもらえることがあるので、知識があると得をする傾向があります。
住宅ローンのイメージとしては、住宅や不動産の購入金額の一部を借り入れし、それを月々の支払いで返済するという流れです。
もちろん、お金を借りる上で「金利」というものが発生します。
「金利」の部分が、月々の返済額や、総支払い額に影響するので、比較対象として検討することが大半です。
住宅ローンの金利は2種類「変動金利」と「固定金利」
住宅ローンの金利は「変動金利」か「固定金利」を選択でき、2017年の住宅金融支援機構の資料では、ほぼ同じ数になっています。(変動金利50.4% 固定金利49.6%)
それぞれの特徴を解説します。
「変動金利」
変動金利は、金利タイプの中では低く設定されており、返済中に金利が見直され変更されたりする特徴があります。
半年ごとに金利が見直され、金利が上昇すると返済額が増加し、金利が減少すると返済額も合わせて減少します。
半年ごとに返済額が変わるのではなく、返済額自体の変更は5年ごとに行われ、返済額が増える場合でも返済額の1.25倍までというルールがあります。
{固定金利」
固定金利は変動金利と対象的で、ローン申し込み時の金利を、一定期間中は固定できるローンのことをいいます。
その代わり、変動金利より金利は高い傾向にあります。
また固定金利の方は、3年、5年、10年といった年数を選択できる「固定金利期間選択型」と、完済まで金利が変動しない「全期間固定金利型」があります。
市場や社会情勢の影響を受けることがほぼないので、返済の見通しも変動金利よりは立てやすい形になっています。
「変動金利」「固定金利」のメリット・デメリット
変動金利、固定金利ともにメリット・デメリットがあります。
表にまとめてみました。
メリット | デメリット | |
変動金利 | 金利が固定金利よりも低い 金利が安くなった時は返済額も減少する | 半年ごとの金利の見直しがある 5年ごとの返済額の見直しがある 金利が高くなった時は返済額も像かする |
固定金利 | 3年・5年・10年と期間を選ぶことができる 全期間固定型は金利なので返済の見通しを立てやすい 金利が変動しても金利額は申込時のまま | 金利が高い 金利が下がっても一定の金利額を支払いつづけなければならない |
それぞれに一長一短があります。
金融機関によっては、「変動金利」と「固定金利」を合わせたミックスローンなど、選択支が増えているので消費者にとっては助かります。
住宅ローンを借りれる目安は?
一番気になるのは、「自分は一体どれぐらい借りれるのか?」という部分の人が多いはず。
私も実際そうでした。
相場で言われているのが、年収の6倍~10倍と言われています。
実際には審査を通してみないと分からないのが本音ですし、金融機関や支店によっても温度差があるのはしかたがないことでしょう。
他にも「属性」と言う部分で、住宅ローンを申し込む方の年齢や勤め先、年収なども審査の結果に影響してきます。
金融機関の方も「返済比率」という言葉で評価するので、他に借り入れがある方も厳しい時があります。
もし審査が通り、ローン実行で支払が始まった時、改めて注意が必要なのは、「限度額」いっぱいで借りてしまうと、将来的に返済が厳しくなる可能性があるということです。
サラリーマンの方でしたら、終身雇用や年功序列で収入が上がる傾向も薄れているため、冒険的なローンの利用は危険を伴います。
マンションの場合は修繕積立金や管理費、戸建て・マンションともに固定資産税も掛かってきまし、それらを見越した計画も必要になってきます。
実際に支払っている賃貸の家賃代や、月々の返済を調整するように頭金を増やすなど、「支払える金額」で申し込むようにした方が無難でしょう。
住宅ローン減税も賢く利用するのがオススメす。
住宅ローンを申し込む時の審査
住宅ローンを利用したい時の流れですが、まずは住宅ローンが利用できるか金融機関に「審査」を申し込む必要があります。
「審査」自体も「事前審査」と「本審査」があり、「事前審査」が通ると「本審査」も大丈夫と言われています。
中には、事前審査から本審査までに、他に借入を起こしたり、諸事情が増えたりする場合は差し支えがあるかもしれません。
「事前審査」を申し込むためには、必要書類を提出し、審査の結果を待ちます。
必要書類はおおまかには以下の種類が多いです。
- 本人確認書類(免許証や住民票の写しなど)
- 収入関連資料(源泉徴収票や確定申告の書類)
- 物件資料(その不動産の価格が分かるもの、契約書や見積り)
こういった書類が基本で、金融機関や利用する人によっては増える傾向にあります。
ネット銀行でも多く扱えるようになっているので、年々便利になってきています。
現在の住宅ローンの借り換えもできる
住宅ローンは新規の申し込みだけでなく、他の金融機関で利用している住宅ローンの借り換えも対応しています。
特にバブル期に住宅ローンを申し込んだ人達は、金利が5%と高金利の時代でした。
借り換えることによって、どうしても諸費用という部分は発生してしまいますが、高金利時代に住宅ローンを利用開始した人には、借り換えをするとメリットが多くでるかと思います。
返済期間が10年以上で、返済額も1000万円以上、検討した場合、申し込み時と現在の金利が1%~2%以上の開きがある人はオススメします。
住宅ローンの団体信用生命保険
住宅ローンの特徴の一つに「団体信用生命保険」もあります。
借り入れの条件として加入することが前提としていることが多いので特徴を押さえておきます。
「団体信用生命保険」は、住宅ローンの契約者が、ローンの返済中に所定の高度障害状態になった時や亡くなった時に、その保険金でローンの残債を支払ってもらえる住宅ローン専用の生命保険のことを言います。
住宅ローンの契約者は、その家庭の収入を支えているのが大半です。
その契約者にもしもの時があれば、ローンを支払うことが滞りますし、残された家族に住宅ローンという重荷が残ってしまいます。
そういった事態に備えるための保険で、特約を付けることによって、死亡や高度障害状態以外でも住宅ローンが免除される商品も増えています。
多いのは「三大疾病特約付団体信用生命保険」「八大疾病特約付団体信用生命保険」などで、死亡・高度障害状態以外に「がん・脳卒中・急性心筋梗塞(三大疾病)で所定の状態」や「高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎などの生活習慣病と言われる五大疾病」になった場合にも適用される商品が増えてきています。
こういった特約の内容や団体信用生命保険の保険料は、基本的に金利に上乗せされることが多いので、他の生命保険とも内容や金額を合わせて検討する必要があります。
住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)*新築戸建て住宅や中古戸建にも使える

住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)を利用するには?
住宅を購入する際にほとんどの人が利用する住宅ローン
団体信用保険や金利面でのメリットなどを考慮し、申し込み利用する人も増えてきています。
また、住宅ローンを利用することによって、条件次第では「住宅ローン減税」が適用となり、ローンの金額が高額なだけに減税される金額も大きくなります。
住宅ローン控除を利用すると、毎年の住宅ローンの残高の1%を、10年間に渡って所得税から控除(所得税から控除しきれない部分は住民税からも一部控除、中古住宅の場合は要件を満たす必要が有り)できます。
新築住宅や中古住宅によっては要件が分かれますが、共通する内容は以下の通り
新築・中古住宅の共通要件
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イメージはできそうですが、具体的に見ていきましょう。
住宅ローン控除適用条件 床面積が50m2以上であること
参照:すまい給付金
一戸建てとマンションなどの共同住宅では、寸法の取り方が違うので注意が必要です。
不動産の登記の床面積と同じなので、そちらを確認するのがいいかもしれません。
住宅ローン控除適用条件 自ら居住すること
住宅ローン減税を受けられるのは「居住の用に供した場合」とされています。また、住宅の引渡し又は工事の完了から6ヶ月以内に、減税を受けようとする者が自ら居住する必要があり、居住の実態は住民票により確認することとなります。このため、別荘などのセカンドハウスや賃貸用の住宅は対象となりません。
参照:すまい給付金
もちろんこの制度を利用するには、その住宅に自ら住む必要があります。
完成してから6ヶ月以内に居住する条件もあるので、完成後直ぐに移れない方なども注意が必要です。
また店舗兼併用住宅の場合の住宅ローンも「住居の部分」のみ減税対象になるので、変則的なパターンの場合は事前に確認しましょう。
中古一戸建て住宅や中古マンションで住宅ローン減税が使える方法

中古住宅で住宅ローン減税が使える方法とは?
全ての人が対象にはなりませんが、中古住宅を住宅ローンで購入した場合でも一定の要件を満たせば、住宅ローン減税が利用できます。
ハードルは少し高いですが、ローン減税が適用できるかどうかも頭におきながら不動産情報を見るようにしましょう。
中古住宅の場合
耐震性能を有していること
新築住宅は現在の建築基準法に基づき設計され、建築確認を受けていますが、中古住宅の場合、建築年代によっては現行の耐震基準を満たしていない場合があります。このため、中古住宅を購入する場合に住宅ローン減税を受けるためには、耐震性能を有していることを別途確認する必要があり、次のいずれかに適合することが要件となります。
ア:築年数が一定年数以下であること
- 耐火建築物以外の場合(木造など):20年以内に建築された住宅であること
- 耐火建築物※の場合:25年以内に建築された住宅であること ※鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造など
イ:以下のいずれかにより現行の耐震基準に適合していることが確認された住宅であること
中古住宅で住宅ローン減税を利用する際には、築年数と耐震性の2点を証明する必要になります。
評価書や証明書の場合、時間が掛かるケースがあり、またローン減税を利用するには購入時ではなく初年度の確定申告時に申請になるので、タイムラグが生じ慌てる人も多く見かけます。
最悪、購入してから気づくケースもあるので注意が必要です。
リフォーム工事で住宅ローン減税が使える方法
新築や中古住宅の購入だけでなく、リフォーム工事の内容によっては住宅ローン減税が使えます。
リフォーム工事だけでも高額になる場合があるため、できる限り利用したいものです。
住宅ローン減税の対象となる増築、リフォーム工事
- 増改築、建築基準法に規定する大規模な修繕又は大規模の模様替えの工事
- マンションの専有部分の床、階段又は壁の過半について行う一定の修繕・模様替えの工事
- 家屋のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関又は廊下の一室の床又は壁の全部について行う修繕・模様替えの工事
- 耐震改修工事(現行耐震基準への適合)
- 一定のバリアフリー改修工事
- 一定の省エネ改修工事
参照:すまい給付金
対象となる工事は幅広く、リフォームだからといってローン減税をあきらめるのは勿体ないです。
リフォームを計画する場合、計画が優先になりがちでこういったコスト面でのメリットの部分を取得できるにもかかわらず、おろそかになりがちな傾向があります。
「過半」や「大規模」など専門用語で要件がまとめられているので分かりづらい部分がありまが、工事をお願いするリフォーム会社や建築会社さんに早めに問い合わせてみましょう。
また利用するためには要件があるのですが、新築や中古住宅のローン減税の時と利用要件は似ているのですが、「リフォーム工事費が100万円以上」の要件も条件の一つになります。
住宅ローンを利用してリフォーム工事をした場合
- 床面積が50㎡以上
- リフォーム工事費が100万円を超えるもの
- 完成から6ヶ月以内に居住し、その年の12月31日まで継続して居住すること
- 住宅ローンの借入期間が10年以上
- 控除を受ける年の年収が3000万円以下
住宅ローン減税でどれぐらい減税になるか
すまい給付金のサイトに参考例があります。
上記の参考例でみると、10年間で約380万円控除されています。
会社員の方などが「ローン減税」を利用する場合は、初年度に確定申告をしなければならなかったり(2年目以降は年末調整)と、それなりの作業が伴いますが、これだけの金額が減税されるのはありがたい制度です。
また、実際にすまい給付金などのサイトで簡単なシュミレーションができるので、計算してみる方がイメージがしやすいです。
住宅ローンを使わずに住宅を購入してしまったら・・
住宅ローンの内容で話を進めていましたが、自己資金で住宅を購入された場合にも、「投資型減税」という内容で所得税の控除など優遇措置は用意されています。
「長期優良住宅」や「低炭素住宅」などハードルが高いですが、該当する場合は利用しましょう。投資型減税
投資型減税
・長期優良住宅や低炭素住宅に対応した減税措置
・現金購入の場合に利用可能
・1年で控除しきれない場合は翌年の所得税からも控除
ローンを利用せずに、自己資金のみで取得する場合、住宅ローン減税は利用できません。そこで、耐久性や省エネルギー性に優れた住宅の場合には、自己資金のみで取得する場合にも所得税が控除される制度として、投資型減税制度があります。この制度についても、消費税率の引上げを踏まえて拡充されています。
具体的には、所管行政庁の認定を受けた長期優良住宅に加えて、新たに所管行政庁の認定を受けた低炭素住宅が対象になります。所得税からの控除は、これらの住宅の性能強化に必要な、標準的な掛かり増し費用が対象となります。この掛かり増し費用についても見直し・拡充が行われます。
なお、申請者や申請時期等は住宅ローン減税と同様です。
~平成26年3月 平成26年4月
~平成33年12月※対象住宅 ①長期優良住宅 ①長期優良住宅
②低炭素住宅控除対象限度額 500万円 650万円 控除率、控除期間 10%、1年間
(控除しきれない部分は翌年度の所得税から控除)最大控除額 50万円 65万円 ※経過措置により5%の消費税率が適用される場合は、控除対象限度額及び最大控除額については、
平成26年3月までの措置を適用
掛かり増し費用 構造 ~平成26年3月 平成26年4月
~平成33年12月木造 33,000円/m2 43,800円/m2 鉄骨鉄筋コンクリート造 36,300円/m2 鉄筋コンクリート造 36,300円/m2 鉄骨造 33,000円/m2 上記以外の構造 33,000円/m2
ローン減税ほどの控除率には至りませんが、何もないよりは助かる制度です。
また「ローン減税」や「投資型減税」など、今回紹介した制度や内容は一般の方は知らなくて当然です。
一生で一度の買い物の時にしか出会わない制度なので、分からない時は建築士やファイナンシャルプランナーなどの専門職の方に聞いたりするのも一つの進め方です。
住宅ローンのまとめ
住宅ローンについては各項目が多いので、追記などをして更新していくつもりです。
金利なども、つい目先の金利%などに着目しがちですが、支払いの全体のバランスが非常に重要になってきます。
子供がいる世帯などは、教育費との調整も含め住宅ローンの検討が必要ですし、返済時の年齢の状況を考慮したライフプランも必要不可欠になってくるでしょう。
次回は「フラット35」について書いていきます。