建築にとって「照明」は欠かせない存在です。
かつての偉大な建築家の巨匠達も、照明については試行錯誤を繰り返しています。
現在の量産的な照明ではなく、「その建築物に合わせて照明は考えないといけない」という思想のもと、名建築あるところに名作照明は生まれてきました。
建築家と名作照明、タリアセンとフランク・ロイド・ライト

プレーリースタイルや有機的建築を提唱していたフランク・ロイド・ライト
近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライト。
フランク・ロイド・ライトは「落水荘」や「ロビー邸」など、名建築を生み出しできます。
有機的建築を指針とし、周りとの調和を重んじるライトにとって、「光」の役割を兼ねる「照明」は欠かせないツールの一つです。
その中でも「タリアセン」というライトの代名詞といわれる照明が誕生し、現在も復刻版なども販売され、時代関係なく利用されています。
タリアセンはシリーズ化され、1~4までバリエーションがあります。
ル・コルビュジエのLCコレクションのようですね。
タリアセン1
先日訪れた、兵庫県芦屋市にあるヨドコウ迎賓館にも展示されていました、
その時の記事がこちら↓

ヨドコウ迎賓館にあるタリアセン1
アメリカのウィスコンシン州「タリアセン」にある、フランク・ロイド・ライトが設計した自邸や設計事務所のためにデザインされ、そこに置かれていました。
ライトのデザインらしく、シンメトリー調に設計され、どのアングルからも美しく柔らかい光が空間を演出しています。
方形屋根の形をイメージされているらしく、日本に合わせてスケールダウンされた復刻版も用意されています。
タリアセン2
タリアセン「2」はタリアセン「1」とは少し形が違い、スタンド型の間接照明になります。
タリアセン2は、1933年にヒルサイド・ホーム・スクールの体育館を劇場に改装の計画中にデザインされました。
高い位置からボックスの形状と合板の遮光板で構成されたペンダントライトが始まりです。
等間隔で配置された光は、見る角度によっては様々な光の表情を表し、見る者に暖かい雰囲気と柔らかい空間を与えてくれます。
タリアセン3
タリアセン3は、タリアセン2(スタンド型)をフランク・ロイド・ライト財団の許可を経て、テーブル型に改良されたものです。
1995年にはグッドデザイン賞を受賞しており、タリアセン2の良さを失うことなく、コンパクトに形成されています。
タリアセン4もあるのですが、タリアセン2を日本の住宅環境に合わせて作られています。
タリアセン「2」「3」「4」のサイズの比較です。
高さ | 幅 | 奥行 | 重さ | |
タリアセン2 | 2038mm | 410mm | 410mm | 20kg |
タリアセン3 | 752mm | 210mm | 210mm | 3kg |
タリアセン4 | 512mm | 210mm | 210mm | 2.3kg |
実際にフランク・ロイド・ライトが手掛けていたのは、タリアセン2までです。
色もチェリーのみでしたが、ウォールナット色など追加されています。
光を灯さない時も、空間を演出するように設計されたデザインは、現代にもインテリア業界にも影響を与えています。
フランク・ロイド・ライト財団
フランク・ロイド・ライト財団は、1940年にアメリカで設立され、ライトに関する図面や作品などを保存や管理し、後世に伝えていく活動をされています。
フランク・ロイド・ライト財団のホームページはこちら↓
現在販売されている商品や、タリアセン3・タリアセン4は、その残された図面をもとにフランク・ロイド・ライト財団の承認のもと復元されています。
教養の面などでも、タリアセンやタリアセンウエスト(建築の学校、キャンパス)で活動されており、世界中から建築学生が集まり学んでいます。
こちらも負けずに、ライトの思想や建築を勉強していきたいと思います。