「建築士法」とは、建築物の設計や監理に当たる技術者の資格を定め、業務の適正化や建築の質の向上を目的としている法律です。
建築士などは試験に合格し名簿に登録する流れになります。
今回はその中でも、「一級建築士」「構造設計一級建築士」「設備設計一級建築士」に焦点を当てて少しだけ解説します。
⇧スキマ時間で一級建築士を学習するならスタディング
⇧インテリアコーディネーターと二級建築士の特化した専門校ハウジングインテリアカレッジの通信講座
目次
一級建築士の試験や内容

一級建築士はどんな資格か?
「一級建築士」は国土交通大臣の免許を受けて、一級建築士の名称を使い、建築物の設計や工事監理やその他の業務を行う者をいいます。
一級建築士でないと取り扱かえない建築物
①病院や学校、劇場、観覧場、映画館、公会堂など、百貨店の用途に供する建築物で、延べ床面積が500㎡を超える場合
②木造の建築物などで、高さが13mか軒の高さが9mを超えてしまう場合
③RC造(鉄筋コンクリート造)、鉄骨造、石造、れん瓦造、コンクリートブロック造、若しくは無筋コンクリート造などの建築物で、延べ床面積が300㎡、高さが規 \n構造\n計画\n施工\n環境・設備13m又は軒の高さが9mを超える場合
④延べ面積が1000㎡をこえ、かつ、階数が2以上の建築物の場合
①から④までの建築物の新築はもちろんのこと、増築や改築、大規模な修繕や大規模な模様替えの場合も適用になります。
一級建築士の受験資格
一級建築士受験資格は誰でも受けれるわけでもなく、以下の人に限られます。
①大学で指定科目を修めて卒業+実務経験2年以上
②3年制度短期大学(夜間を除く)で指定科目を修めて卒業+実務3年以上
③2年制短期大学か高等専門学校で指定科目を修めて卒業+実務4年以上
④二級建築士として実務4年以上
⑤建築設備士として実務4年以上
⑥その他国土交通大臣が特に認めた場合
建築系の学業卒業か、二級建築士などで更に実務経験を積んだ上での受験になります。
一級建築士の試験日程

一級建築士の試験はニ級建築士や木造建築士の試験と同じく「学科」と「製図」の項目に分かれています
試験の申し込みから合格後の免許登録まで、ストレート合格で約10ヵ月ほどかかり、約1年もの期間が建築試験に費やされます。
一級建築士 願書申込
一級建築士試験の郵送での願書申込やインターネットの申込等は、例年4月初旬~中旬から開始されます。
各スケジュールについては、3月頃に建築技術教育普及センターのホームページで公表されます。
初年度受験と2回目以降の受験者では、手順が違うので注意が必要です。
一級建築士 学科試験の日程
毎年7月の第4日曜日
一級建築士 製図試験の日程
毎年10月の第2日曜日
二級建築士 合格発表
毎年12月末ごろ
郵送で通知判定の送付か、建築技術教育普及センターのホームページで公表されます。
一級建築士の試験内容

一級建築士 学科試験
学科試験の場合は、課目が「法規」「構造」「施工」「計画」「環境・設備」に分かれており、それぞれの課目ごとに足切点があります。
問題数が下記のように配分されているので、偏ることなくバランスよく得点する必要があります。
- 法規 30問
- 構造 30問
- 計画 20問
- 施工 25問
- 環境・設備 20問
勉強時間の配分も、得意・不得意を見極めながら対策する必要があります。
一級建築士の製図試験
毎年10月の第2週に開催され、学科試験合格者のみが受験できます。
製図の課題となるテーマも7月に発表され、約4ヶ月の準備を経て受験することになります。
一級建築士としての知識や技能が試されるので、課題は大規模な特殊建築物が対象になってきます。
本番の試験で作成を求められる図面の種類です。
- 1階平面図・配置図(縮尺1/200)
- 2階平面図(縮尺1/200)
- 3階平面図(縮尺1/200)
- 断面図(縮尺1/200)
- 面積表
- 計画の要点等
問題文を読み取り、手書きでエスキスから作図を完成させることが試される試験です
最終的に4段階の合否に判別し「I判定」のみが合格となります。
一級建築士試験後 合格後
一級建築士試験の合格発表は、12月末頃に発表されます。
試験合格だけでは「一級建築士」は名乗れず、登録を完了した段階で「一級建築士」としてスタートできます。
管理建築士として登録するにも、登録を完了した段階の「一級建築士」から3年の実務経験が必要になります。
3年ごとの建築士定期講習
ニ級建築士と同じく、品質の維持・向上を目的とし、建築士は3年ごと定期講習の受講を建築士法で義務づけられています。
建築士として、建築基準法の改正や社会情勢の変化に対応できるよう必要な講習になります。
構造設計一級建築士

構造設計一級建築士はどんな資格か?
平成17年の耐震偽装問題を皮切りに、建築物の安全面や構造設計に見直しを計り、平成18年に創設された資格です。
一定以上の建築物の構造設計については、自ら「構造設計一級建築士」が設計を行うか、「構造設計一級建築士」に構造関係規定への適合性の確認を受けることが義務付けられています。
また「構造設計一級建築士」の資格を取得するには、一級建築士として5年以上の構造設計業務に従事した後、国土交通大臣の登録を受けた登録講習期間が行う講習の課程を修了しないといけません。
構造設計一級建築士による設計の関与が義務付けられている建築物
構造設計一級建築士が設計に関与が義務付けられている条件があります。
・高さが60m超えの建築物
・ルート2(剛性率や偏心率など許容応力度等計算),ルート3(保有水平耐力計算),限界耐力計算についてよる構造計算を行うことにより構造計算適合性判定が義務付けられている高さ60m以下の建築物
高層建築物、超高層建築物に該当する建築物になります。
2018年現在で、約1万人の登録があり、今後も構造のスペシャリストとして重宝される資格です。
設備設計一級建築士

設備設計一級建築士はどんな資格か?
「構造設計一級建築士」と同じく、平成18年に創設された資格です。
一定以上の建築物の設備設計については、自ら「設備設計一級建築士」が設計を行うか、「設備設計一級建築士」に設備関係規定への適合性の確認を受けることが義務付けられています。
また「設備設計一級建築士」の資格を取得するには、一級建築士として5年以上の設備設計業務に従事した後、国土交通大臣の登録を受けた登録講習期間が行う講習の課程を修了しないといけません。
設備設計一級建築士による設計の関与が義務付けられている建築物
構造設計一級建築士が設計に関与が義務付けられている条件があります。
・階数が3以上、かつ、床面積が5000㎡超えの建築物の新築
・大規模な修繕、大規模な模様替え、増築、改築の場合、その増改築等を行う部分の階数が3以上、かつ、床面積が5000㎡超えの場合
「構造設計一級建築士」と同様に、取得にはハードルが高い資格です。
設備設計のスペシャリストとして、大規模な公共建築や複合施設の建設には、かかせないポジションになります。
一級建築士や構造設計一級建築士、設備設計一級建築士について まとめ
今回は「一級建築士」に関係する資格を集めてみました。
「一級建築士」などは住宅や不動産を購入するタイミングでお世話になっている方も多いと思いますが、「構造設計一級建築士」や「設備設計一級建築士」になると、ほぼ接する機会がありません。
建築業界には「こういう資格もある」という紹介です。
また改めて続きを記事にします。
⇧スキマ時間で効率的に学習するならスタディング
スキマ時間で資格を攻略
- 一級建築士や二級建築士も、限られた日々の時間の中で合格したい方
- 効率よく、試験に出題されるところ知りたい方
- 独学は不安だが、大手資格学校の費用は負担できない方
- 試験対策をスマホで勉強したい方